【コイビト遊戯総評】

●オススメ度
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●あらすじ
 両親と離れて暮らし、生活費を稼ぐため日々バイト漬けの主人公・藍川裕太。
 そこへ転勤してきた兄・周平がやってきて、同居を開始。徐々に裕太の行動を縛り始める。
 掛け持ちまでしていたバイトを辞めさせられ、財布を握られ……弟を溺愛する兄の行動はエスカレートするばかり。
 我慢の限界にきた裕太は幼なじみの諒に相談することに。
 諒の提案で、裕太は諒の家で生活することになるが、周平の反発は凄まじかった。諒の家に押しかけて舌戦を繰り広げる。
 幼なじみというだけで裕太を勝手に連れ出すなという周平に対して、幼なじみ以上の関係―恋人同士であるというウソをついた諒。
 疑念を抱いた周平はその日のうちに裕太のクラスメイト全員に確認の電話を入れたため、翌日の教室は大騒ぎ。
 裕太と諒は“コイビト”のフリをしなければならなくなって……

●テーマ
 テーマはズバリ“変態”。
 攻略キャラはみんな変態です(笑)
 甘いだけのBLに飽きを感じておられる方にはとても良い作品だと思います。特にムリヤリシチュエーションが好きな方にはオススメです。
 HAPPY EDはそこそこ甘いですが、BAD EDは救いようのないくらい暗いものがあります。
 その落差は極端で、BAD EDの中には男性向けエロゲに勝るとも劣らないシーンもあります(ス●とかケモノとか)。このあたりで好みが分かれるかもしれません。私はそういうフェティッシュな描写には少々抵抗を覚えましたが、PIL/SLASHさんの作品だからという理由で納得してプレイしました。
 なお、ラブラブなHシーンはあまりありません(汗)。なぜなら両思いになってからのHの描写がほとんどないからです。兄の周平ルートは例外ですが。
 この描写があれば文句なしに星5つです。

●システム
 全てにおいてスムーズです。バグもありませんでした。
 プレイする時間帯によってキャラクターのシステムボイス(お出迎えボイス)が変わるのが凝ってるなぁと思いました。
 他にもボイスコレクションなる、本編で気になった台詞をブックマークしておける機能が目新しいです。
   ただしディスクレスではなかったので、他ゲーム(非ディスクレス)と平行プレイしていると少々面倒ではありました。

●声優さんについて
 出演者全員偽名をお使いです。
 しかし隠すまでもなく声を聞けばどなたかわかるほど有名な方が何名かおりますし、わからなくてもちょっと検索かければ判明すると思います。
 BLではお馴染みの顔ぶれで、そういった演技もとてもお上手ですので、安心してプレイできました。
 ただ個人的に主人公の声はちょっと合ってないような気がしました。
 瀧川さんの声に問題があるわけではなくて、キャラがあまりにも女の子っぽいため、そう感じてしまったのかもしれません。

●初回特典
 『肝試し』というドラマCDが付いていました。「ネタバレ注意」の文字が盤上に印刷されている親切さ(笑)。
 他にもショップ購入特典(ドラマCD)があります。特定ショップで買うと付いてくれるオマケですね。
 ちなみに私が購入したAm●zonでは周平兄ちゃんとの掛け合いCD『遊園地』が付いてきました。
 公式HPや体験版である程度「アタリ」をつけて、お目当てのカップリングのドラマCDがGETできるお店で購入しましょう
 どちらの特典も本編のBADをプレイしたあとに聴くとかなり救われました。面白かったです。



【コイビト遊戯キャラ語り】


藍川裕太(cv/瀧川大輔)
★主人公。九州の両親と離れて暮らし、日々バイトに明け暮れていた。誰とでも仲良くなれるという特技を持つ。マザコンとブラコンの気がある。
 外見は女の子にしか見えない主人公でした。優柔不断でちょっと頼りなさそうだなというのが第一印象。
 過去にあった「嫌なこと」もご自慢の適応力ですっかり忘れてしまう。どんな不条理な環境でも意外にすぐ慣れてしまう。とある人と深い関係になってもなかなか自分の気持ちが恋であることに気付けない鈍感さ、そして庇護欲と支配欲をそそる独特の雰囲気。
 よくも悪くもそれらの「魅力」が周囲に作用してしまい、自分の身に返ってくるんですね。
 でも意外にしっかりしていて、男らしいところもありました。可愛いだけじゃないところを見せつけてくれたことで、かなり好感度が上がりました。
 私は裕太に対して別に嫌悪感はなかったので、BAD ED(特に「きみを抱いて、どこまでも」ED)は見ていて可哀相になりました。何もそこまでしなくてもというのが正直な感想です。

 
廣瀬諒(cv/平井達矢)
★裕太の幼なじみ。大学教授の父と茶道家元の母を持つお坊ちゃん。落ち着いた物腰で大人びて見えるが、実は神経質で目立つことが嫌いである。裕太の兄・周平と滝沢とは犬猿の仲。
 彼は一部BAD EDで壊れない限り、比較的ノーマルです。
 お上品でちょっと神経質な坊ちゃんって感じですが、気取ったところもなく、裕太には本当に親切に接しています。あからさまな態度で裕太を溺愛する周平よりも兄っぽくて、私個人としてはかなりのお気に入りキャラです。
 まあ、強いて言うならば予期せぬ出来事に対する対処法がしっかりとしていないために、混乱すると少し恐ろしい。それ以外は本当にウブで、こっちから仕掛けないと動いてくれないくらいの潔癖さです。
 この物語のBAD EDはドギツイものが多い中、彼のBAD ED(「笑う蛇」ED)はさほど嫌いじゃないです。そこに一応愛はあるわけですから。諒がちょっと壊れるのは可哀相ですが。
 それにしても濡れ場シーンの平井さんの演技がすごく上手。鳥肌立ちました。攻はもちろん、受の諒も結構いいカンジに演じておられました。


滝沢蓮(cv/花山啓治)
★裕太のクラスメート。モデル。基本的に無気力で、学校内ではよくない噂が広まっている。自己中心的でどこか冷めているが、本当は寂しがり屋。
 クオーターのモデルという典型的な遊び人キャラです(偏見)。
 そして男の嫉妬が怖いってことを改めて思い知ったルートでした。
 一見物凄くクールで世慣れしてそうに見えるんですけど、実はめちゃくちゃ嫉妬深い。この嫉妬深さはお兄ちゃん並でした……。
 さらに久々の裕太との濡れ場にて、手についた裕太のアレを舐めとって美味いとか言うところはヘンタイそのもの。
 でも滝沢見てると小さい子を相手にしてるみたいでかわいいです。超絶ワガママで傲慢で。
 裕太を自分の物にするにはとりあえずヤッちまったらいいんじゃねえのって考えが短絡的というか……。
 そもそも彼にはコイビトという概念がないんですよね。
 裕太に拒絶されて泣いちゃうんですけど、これもやっぱり小さい子供みたいでした。
 裕太に向かって犬とか言ってますけど、私から見たら滝沢の方がよっぽど犬ですよ。
 ただ、BAD ED(「ひび割れガラス」ED)は結構辛い。滝沢の企みで裕太ではない誰かが壊れてしまいます。
 滝沢の名言「オレはお前とヤりてえんだよッ!!」はプレイ後しばらく頭から離れませんでした(笑)


櫻井啓寿(cv/富士爆発)
★裕太のクラスメート。写真部に所属する秀才。医者の両親と小説家の姉を持つ。その冷静沈着で大人びた雰囲気から周平の信頼を得ている。
 クールビューティー&眼鏡担当。
 他人に無関心なのかと思うくらい落ち着き払っている人ですが、何だか凄い人です。
 自ら罠にはまってくるような警戒心のない存在が好きで、まるで獲物を狙う狼でした。
 一見大人しそうですけど、策士です。
 ……でも実は凄く脆くて弱い人。「人」の愛し方を知らないだけ。純粋無垢って言葉が本当にピッタリ。
 にしても、櫻井だけでも十分おっかないのに、お姉さんたちのおっかなさもハンパじゃありませんでした。無邪気な残酷さを持っています。
 あと、ウサギの話は初めて聞いたときは引きました。ああ、これが本当の『ヘンタイ』なのかって。でも裕太が感じ取ったように、お姉さんたちの「ブラックジョーク」は酷すぎる気がします。だから女性が苦手になったのも頷ける。
 告白シーンはめちゃくちゃ情熱的で私的には物凄く良かったです!惚れました!やっぱり眼鏡はこれくらい頑張ってくれないと(笑)
 しかしBAD ED(「うさぎ」ED)は「え!?」でした。サブリミナルですか……。裕太もだんだん自我がなくなってしまって壊れていきます。ラストは文字通り「うさぎ」。コスプレはまだいいとしてもあの壊れぶりは……。
 櫻井は淡々と話し、しかも声が低いので、台詞がちょっと聞き取り辛いです。ヘッドフォン必須。
 あと、ペットのゲルプ(インコ)が可愛い!なぜに櫻井のペットの名前は皆あんなに洒落ているんだろう。
 櫻井の名言「お前が頼れるのは俺だけだ……他の誰かの名を呼ぶなッ!!」「お前を愛してるんだよ!!いちばん大事なんだ!!」は印象的です。どうぞナマ声で聴いて下さい!


芳賀伊吹(cv/ヘルシー太郎)
★裕太のクラスメート。スポーツ万能で面倒見のいい兄貴的存在。
 元祖熱血体育教師みたいです(笑)。熱い。とにかく熱い。
 というか正義感が強くて腕も立つ、弱いモノには優しいなんて絵に描いたようなヒーローです。
 滝沢とは違って下心のなさそうな性格ですが……のちに裏切られますよ(ニヤリ)。
 家庭内での喧嘩で炊飯器ぶん投げたってのにも笑っちゃいました。何してんの……
 それにしても部屋に入っていきなり「AV見る?」っていう流れがヨイ(笑)。だけど無修正洋ピンなんてアンタねェ(汗)
 このへんがいかにも現代の男子高校生って感じです。実際こんなカンジなんじゃないのか?オトコって。「遊びなんだからいいじゃん」ってノリで結構スゴイことしてるところとか、妙にリアルでした。本当に高校生っぽい。
 でも核心に迫ってくると、初めの頃の熱血漢がナリを潜めて、すっかりヘンタイになってしまうんですよね。
 滝沢のときもそうだったけど、濡れ場シーンが結構強姦っぽい……。もっと和姦っぽいものはないのか?両思い後はちゃんと裕太の気持ちを尊重してくれたけどさ。
 セフレED「セイシュン症候群」に至っては何だかもう壊れてるとしかいいようがない……。学校での情事でスリルを味わってクセになってる裕太……爛れてるわ〜!
 「スカートの下の秘密」EDではヘンタイオヤジな芳賀が見れます。裕太に●●させるという……(わかるよね?)


藍川周平(cv/氷河流)
★裕太の実兄。転勤で上京し、裕太のアパートに住まい、裕太を束縛し始める。諒とは犬猿の仲。
 私の中では諒と並んで真打ちです。体験版プレイのときはまさかここまでとは思いませんでしたが。
 弟が全ての超ブラコン兄貴。秀才肌でプライド高し。
 自分の恋人が北海道から東京の裕太のアパートへ来たときも、夕食を作ってくれたときも、裕太の態度一つで彼女に対する態度が変わるほど。
 彼女の作ってくれた夕食が美味いと裕太が褒めると、さっきまで和気藹々としていた周平が一転、もうこんなことしないでくれと一蹴する(嫉妬ですね)。しまいには「俺と裕太の生活に入り込むな」と言い張る始末。
 この彼女に別れの言葉一つかけないまま曖昧な態度のまま東京へきたわけですから、本当に弟以外眼中にない人です。
 だからHAPPY ENDの二人は物凄く甘いです。これに関しては他の追随を許さないと私は思います。
 ……でも、ですよ。本当に怖いのはBAD END(「モンスター」ED)の周平です。背筋がゾッとしました……。
 諒が周平を嫌うきっかけになった過去の一件とは、周平が裕太の●を●●したのを目撃したこと。あのエピソードはやはり不気味。そして同じ行為をこのBAD ENDで再現するんですよ。その時の周平の台詞はヘンタイ以外の何者でもない。このEDで最終的に「壊れた」裕太を限界まで風呂に入れず、その体臭を愉しみ、言葉すら忘れさせて囲う。……フェティッシュの極みとでもいいましょうか……。とにかく不気味です。このBAD ENDの周平はただの優しい兄ではなく、本当はもっと昏い独占欲で裕太を縛り付けているわけです。
 反対にもう一つのBAD END「白い部屋」はとても切ないです。個人的には「モンスター」EDを先に見てからこのEDを見るほうがいいと思います。裕太が望むならばと結婚に踏み切った周平。でもやはり裕太への思いは絶ち切れなくて……というその葛藤が悩ましいです。


和泉澤大貴(cv/浅野要二)
★櫻井の友人。落ち着いた物腰の好青年だが、実は……
 この人のルート・BAD ED(「きみを抱いて、どこまでも」ED)をプレイしてから大ッ嫌いなキャラとして君臨してます。
 このキャラのHAPPY EDは存在しませんので、萌えろという方がおかしい。
 この作品の中では極S・鬼畜担当。文字通りの鬼畜でした。
 実家がアレなお家だった上にあのキャラと双子の兄弟……。双子の話が出た時点で私はピンと来たんですが、やはり似てないというか、仮に兄弟といわれても信じられない。


KOKI(cv/犬野忠輔)
★滝沢のモデル仲間。派手なファッションでオネエ言葉を操る。バイセクシャル。
 BLゲームにオネエキャラが出てくるとは思わなかった……。さすがPIL/SLASHさん、チャレンジャーです。
 ときどきKOKIがキレるシーンがあるんですが、かなりビビりました。地の口調や声がめちゃくちゃ怖い。オネエ言葉はカムフラージュに過ぎないんですよね。あれに騙されちゃいけない。
 発売前、公式HPで全身グラフィックを拝見したときは単なるチャラ男かと思っていたんですが、何の何の……。予想以上に濃いキャラです。
 このキャラもHAPPY EDは存在しません。PIL/SLASHの男性スタッフさんには人気があったらしいですが、私は嫌いだ!





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