【咎狗の血総評】

●オススメ度
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●あらすじ
 舞台は第三次世界大戦が終結して荒廃したニホン。東西分裂したニホンを東はCFC、西は日興連という組織が統治していた。
 戦争で戦うことを望まれた国民はその使命を失くし、持て余した欲求の捌け口を内に向けた。
 ヴィスキオという犯罪組織が取り仕切る都市・トシマで開かれる“イグラ”という命がけのバトルゲームにはそんな連中が群れ集ったのである。
 主人公・アキラは自らの身に着せられた冤罪を晴らすため、このイグラへの参加を決める。
 彼に課せられたのはイグラを勝ち抜き、ある条件下でのみ対戦できるヴィスキオの王を倒すこと、つまりヴィスキオを壊滅させることであった。

●全体
 どのレビューを読んでいてもたいていが高評価の作品。男性プレイヤーの方からも(Hシーンがなければ)楽しめるという声を聞きます。
 「BL苦手だから」という理由でプレイしていない人は損してるなと思うほどオススメです。未プレイの方、騙されたと思ってプレイするべきです!!
 と宣伝してるにもかかわらず、私もこの作品を敬遠していたクチです(笑)。とにかく陰鬱で暴力的で暗そうなイメージがあり、どっちかというとラブラブものが好きな私にとってこの作品は辛いだろうなと思ったからです。
 しかし実際にプレイしてみるとそんなこと思ってたのが勿体ないと思うくらい、とてつもなくハマった!!
 まず「これってBLゲーム?」と疑うほどシナリオが素晴らしいです。Hシーンもそれほど多くないし、それ以外はノーマルな作品と勘違いしそうなほど。BLだけど一般作品にしても十分通用する作品といっても過言ではないと思います。ヘタな映画よりよほどいいと思います。
 特に戦闘シーンは圧巻です。スピード感があってスリル満点でした。スチルなしでもそのシーンが目に見えてきました。
 えげつない描写も多少ありますが、スチルで現れることは稀(無いとはいえない…)ですのでご安心を。
 しかしハード系のBLが苦手な人はやめておいたほうが無難です。色々とイタいこともしちゃってるので。

●描写
 キャラの心理描写がとても生々しく、意識せずとも感情移入してしまいます。特に狂っている描写は背筋が寒くなるくらいでした。また、アルビトロの性癖についてはきっと吐き気がすると思います。
 はじめは何の面白みもない(失礼)主人公ですが、仲間と接することであらゆる面で成長し、エンディングでは微笑ましくなることしばしば。
 この独特の世界観ゆえ、ところどころ小難しい表現もあって読みづらいのは事実ですが、文章はとてもしっかりしているので素直に楽しめると思います。
 余談ですが、私、BLゲームで初めて感動して泣きました。しかも何度も。(実話)

●BGM
 殺伐とした世界観にあってます。ハード系、気だるげ、ピアノ曲など幅は広いです。
 私が気に入っているのはSOUNDSの017。
 地味な曲なんですが、緊迫したシーンのあとでこのBGMが流れてくると落ち着きます。熱血ではないけど静かな決意を秘めているような雰囲気で、夕暮れ時に聞いていたい曲です。
 各種のグッドエンドを見るといとうかなこさんの『STILL』が流れますが、この曲は大好きです。エンディングらしい曲でマッチしていると思います。



【咎狗の血・用語解説】

 作品中には、この作品独特の用語が多用されています。
 公式HPにてきちんと用語の解説がされていますので、プレイと同時進行で確認することをオススメします。
 ここではキャラ語りをする上で必要な、ほんの一部の用語のみを解説しておきます。

☆トシマ
 イグラが行われている都市。
 大戦により街は荒廃し、犯罪者達が群れ集っている。麻薬組織ヴィスキオによって統治されている。
 (モデルは東京都の豊島区ではないかと思います。)

☆王(イル・レ)
 イグラの開催者であり、麻薬組織ヴィスキオの首領。
 イル・レを見た者はなく、その正体は不明。イグラによって特定の条件を揃えた者のみが対決することを許される。
 なおヴィスキオは実質的にアルビトロが運営しているが、彼はイル・レではない。

☆イグラ
 イル・レの座を賭けたバトルゲーム。
 参加方法はアルビトロの城に申請に行き、タグ(※後述)を入手するだけ。ただし途中棄権は一切認められない。
 銃火器以外は何を使用してもよい。殺人も許可されている。
 ルールは先に背中を地面につけた者が負け。
 勝者は敗者のタグを奪うことができるうえ、敗者を好きなように扱うことができる。
 なおイル・レと挑戦者の対戦は専用コロシアムにて非公開で行われる(余興は観戦できる)。敗者に命はない。
 それ以外の対戦はトシマのいたる場所で発生している。

☆Bl@star(ブラスター)
 かつてアキラが参加し輝かしい戦績を残したストリートファイト感覚のバトルゲーム。
 イグラとは違って殺人を禁止しているため、一定の秩序が保たれている。
 それゆえ(序盤に源泉によって指摘されたとおり)例えBl@star個人戦優勝者であっても殺人を許可しているイグラでその実力が通用するとは限らない。イグラとBl@starにはそれほどの違いがある。

☆タグ
 イグラの参加証。5枚1組。うち1枚は必ず首に提げ、残りは所持しておなければならない。
 その全てにトランプの数字と記号が付されており、特定の役(5枚)が成り立ったタグを集めることで、イル・レへの挑戦権が獲得できる。
 なおブタタグ(役が成り立たないタグ)は中立地帯などで食物・水・医療品などと交換できる。

☆処刑人
 イグラにおいて不正を行った参加者の始末を請け負う人物。キリヲとグンジのことを指す。
 しかし気まぐれに殺人を犯すこともあるため、実際は濡れ衣である場合が多い。
 トシマ中を闊歩しており、人々から怖れられている。

☆ライン
 トシマにおいて流行している麻薬。アンプルに入っている。
 精神の強化、筋肉増強などの肉体強化も可能であるため、イグラ参加者の中には服用者が多い。(ちなみにイグラの規定にはドーピング禁止という項目はないため“合法”である。)
 出回っているラインのほとんどは濃度の低いものであるが、依存性が高いため、少量でもあらゆる禁断症状を引き起こす。
 なお、出所は不明であるらしい。

☆ソリド
 携帯用の食料。固形。少し食べただけで満腹になるなどの工夫がされている上、味の種類も多く、安価で手に入る。
 ちなみにアキラはオムライス味を好んで食べている。



【咎狗の血キャラ語り】  【キャラ絵完成するまでSWSPさんのアイコンをお借りしております。】


アキラ(cv/先割れスプーン)
★自らの冤罪を晴らすためにイグラに参加することになる。Bl@star個人戦の優勝者・LOSTとして一目置かれる存在であった。終盤、自らの血液に隠された秘密を知る。
 主人公の割には感情の起伏が少なく、無関心・無感動を地で行くタイプだなぁという印象です。股肱の一匹狼(ケイスケを除く)。でも源泉ルートでは結構強情な面も見せてます。
 しかし様々な出来事に遭遇するうちに「死」に対する考え方や「生」に対する執着を見せるようになり、徐々に人間らしい感性を持つようになります。
 ちなみに総受ではなく、リンルートは攻に回ります。しかしアキラはやっぱり受のほうがいいかも……。
 さて彼の血についてですが、他のキャラ語りにて語られているため、ここでは深く話しません。
 とりあえず今は、「アキラの血は特殊で、ライン使用者が彼の血を取り込むと強烈な拒否反応を示して死に至る」ということだけお話しておきます。
 詳しくはn(完全ネタバレ部分)やエマ、源泉の項目などを参照して下さい。

シキ(cv/緑川光)
★黒いコートを着用し日本刀を携えた姿で圧倒的な強さを見せる神出鬼没の謎の人物。ナルシストで高圧的。ラインとnを嫌悪している。
 出ました、真打ちのシキ様です。グンジの言い方だとシキティーです(爆)。実は何気に服のセンスが微妙です(笑)。ヴィジュ○ル系ですか……???
 実は彼が○○なんですね(←さすがにネタバレすぎ)。で、リンの義兄でもあるという……。だからリンルートを攻略しないとシキルートには入れません。ちっ、面倒な。
 序盤のシキ様はアキラのことを「雑魚、雑魚」とのたまいます。ウルサイです。アキラをみるととにかく「雑魚・腑抜け」とのたまって威圧する。極Sですよね〜。立派な言葉攻め。「今からお前の所有者はこの俺だ」なんていうセリフはまさに極め付け。
 そんなドSなシキ様は当然濡れ場でも超ドS。濡れ場シーンの多さは作品中ダントツ1位!アキラを痛みで感じる体に開発しようとなさるわけです。アルビトロとのシーンで同族嫌悪という言葉が出てきましたがまさにそうですね……。やってることはあんまり変わらないような気が。
 世間では人気があるのかどうかわかりませんが、私は正直Sすぎて引きました(苦笑)。軍人と男娼(?)エンドではシキがニホンを統治しちゃってて、二人の関係もあまり私好みのものではありませんでした(スミマセン)。でもナルシストで自信満々なシキなら納得せざるを得ません。
 しかしそんなSなシキ様を見ていたため車椅子エンドにはかなり驚きました。アキラがシキ様の物とよく似た黒コートを着て、抜け殻のシキ様の車椅子を押してる…。しかもシキ様の日本刀で敵からシキ様を守ってる!かつてのシキ様との関係が逆転してるようで、かなり衝撃的でした。結果的にはこのエンドがシキルートでは一番気に入ってます。

ケイスケ(cv/何武者)
★アキラの幼馴染。アキラに憧れ、要領の悪い自分のことを卑下しがちである。争いを好まない性格であるが、頑固な一面もある。
 「ケイスケは犬に違いない!」と思うのは私だけではないハズ(笑)「アキラの匂いがしたから」というセリフは犬以外の何者でもないハズ(笑)。とにかく何ともカワイイお方です。
 幼馴染で憧れの人・アキラだけを見つめていますけど、自分のことは卑下するケイスケ。何度「アンタはそのままでいいんだよ!!」と叫んだことか。
 序盤はアクの強いキャラに囲まれて、唯一(?)フツーである彼が私の癒しだったのですが、中盤に見事に裏切られました(苦笑)。
 アキラと同じでその不器用な性格が災いし「アキラと喧嘩→強くなってアキラの役に立ちたい思いでラインの服用→狂っちゃう(アキラを憎悪)→生死を彷徨う」という展開に。
 ラインひとつであんなに変わるものなんだなぁ……もう人が変わっちゃってるよ。殺人鬼になって、挙句の果てにBADENDではアキラの「中」から●●を引き出してるサイコなスチルが一瞬写ります。ちなみにこんなの→ 恐ろしく似ているアイコンをお借りしてきました。……オエッ……。
 終盤、アキラの献身的な看病によってラインの禁断症状を脱したシーンは思わず泣きました(実話)。そのあと背中合わせに語り合うシーンではキュンキュンきましたよ!!!
 でもそのあとは凄く強くなってて男前になってます(特にnルート←結局死んでしまいますが……)。もちろん口調はラインを飲む前のような穏やかさ。ヘタレ→発狂(大量殺戮)→男前という成長過程です。
 余談ですが、ケイスケルート以外では死亡します。他キャラ攻略のたびにケイスケが死ぬのですから胸が痛かったっス。死ぬたびにディスプレイに向かって頭下げてました。
 というわけで私は断然ケイスケ至上主義!!なので、やはりケイスケはケイスケでなくちゃと思ったのでした。

リン(cv/鬼龍院隼人)
★トシマに来たばかりのアキラとケイスケに街のことを教えてくれる人物。明るい性格だが、時折冷酷な表情を見せることがある。
 この人は表面上の軽さとは裏腹に重い過去を背負う人でした。
 アキラもそうであったように私自身もリンの軽さが原因で信用の置けなかった人物だったのですが、中盤以降、徐々に生々しい本音が見え始めて「コイツも人間だな」と思うようになってきました。あれくらいドロドロしてる面があってこそ生きてる人間ですよ。
 それにしても、まさかシキ様と兄弟だったとは……。
 エンディングでそのシキ様との決闘を終えて帰ってきた姿には驚きました。せ、成長してる!!めちゃくちゃカッコよくなってる!!でもどこか吹っ切れた顔をしていたので、いろいろ成長したんだなぁと思ってみたり。でもあれじゃアキラ受になっちゃうような……。後日談が気になるところです(笑)。
 しかし個人的にはこのエンディングでの成長したリンに萌えた程度で、あとのシーンはいま一つきませんでした。すまん、リンリン。

源泉【もとみ】(cv/一条和矢)
★情報屋。極度のヘビースモーカーでだらしない印象を受けるが、隙がない。
 まさしく大人の余裕漂うアダルティーなお方(単にだらしないだけかもしれませんが)。源泉と接しているときのアキラは歳相応の青年に見えました。という子どもっぽく見えました。
 イル・レ戦の余興観賞のときに、源泉から「はぐれるなよ」といわれた途端はぐれてるし。この時のアキラの驚いた顔がやけに可愛かったです。
 そしてHシーンがこれからあるなとわかったのもまた源泉でした(笑)。座りっぱなしで尻が痛いからって、奥の部屋のベットに移動するというあからさまな行動。で、ベットに腰掛けて発した一言目が「好きな相手はいないのか?」ですからねェ……。アキラだけじゃなくてオッサンもなんとまぁウブだこと。
 でもまさか昔、ENEDの研究者だったとは思いませんでした。しかも亡くなったとはいえ妻子持ち。
 今では例のENEDの研究を憎み、Nicole・Premier(ニコル・プルミエ)の殺害、アキラの殺害で葛藤する姿は悩ましい。もちろんアキラを殺すことはしませんが、Nicole・Premierを殺そうとする源泉を「同じ被害者だ」と必死に説得するアキラはとてもカッコよかったです。
 
アルビトロ(cv/菱勝)※一応攻略はできますがBADEND扱いです。
★犯罪組織ヴィスキオの実質的指導者。イグラでは審判的存在。常に仮面をつけ、白スーツに派手な色のファーを身にまとう奇妙なセンスの持ち主。
 自らも認めていますが、どう考えても理解できない性癖の持ち主。ヘンタイ。
 イグラの敗者で自分好みの顔立ちをしている者(一応少年趣味なのかな?)を、城の地下室にて人体改造を施して奴隷として下げ渡しています。
 その改造はピアッシング・眼球、声帯除去など様々で、極めつけは四肢切断。吐き気がします。
 当然スチルなどには四肢切断などの生々しい描写はありませんのでご安心を。におわす程度ですから。
 源泉ルートで語られていますが、彼も研究員の一人で源泉の同僚でした。しかし衝撃的なのは当時は黒髪短髪の眼鏡キャラ(!)だったそうで……人間変わるもんですねェ(苦笑)
 それでも変わらなかったのはあの趣味。被験者の少年に麻酔もせぬまま施術しているところを源泉に目撃され、研究員としての地位を剥奪された模様。プライドの高い彼は以後、源泉を憎むようになったようです。
 そういえばシキルートでシキに殺される寸前のスチルで、へたり込んだアルビトロのお尻のところに水溜りらしきものがありますが、あれって失禁してるんでしょうか?雨降ってるとはいえ、ただの水溜りとは思えないんですが。

グンジ(cv/杉崎和哉)※一応攻略はできますがBADEND扱いです。
★イグラ違反者を取り締る処刑人。赤いフードを被っており、金髪の長い前髪のせいで両目は窺えない。鉤爪ナックルを持ち歩いている。
 キリヲとグンジの外見からして、どーも名前が逆のような気がしてなりません。体格のせいでしょうか(笑)。
 杉崎さんの演技がマジで巧すぎて、こんなサイテー野郎にしとくのが勿体ない気もします。変な奴なのでセリフが可愛く感じることがあったのですが、これはちょっとツボです。
 ラインを服用してるのならわかるテンションなんですけど、アレで服用してないんですよね。ということは天性の性格と見ていいんでしょうかね?
 何にせよ、プレイ中、道端で出会いたくない奴に変わりありません……
 余談ですが彼のセリフ枠の名前欄がどうしても「ゲンジ」にしか見えないのは私だけでしょうか???

キリヲ(cv/富士爆発)※一応攻略はできますがBADEND扱いです。
★同じく処刑人。体格の良い男であるが無気力そうな口調で話す。鉄パイプ(ミツコさん)を持ち歩いている。
 「キズモノになっちまった、ミツコさん……。愛してたのによォ……」これはシキとの戦いでキリヲが呟いた言葉です。(シキルートにて)
 当初「ミツコって誰?」と思ってたんですが、どうやら鉄パイプの名前のようです。パイプにミツコさんってどういうセンスなんでしょう(爆)。
 などと笑わせてくれるシーンもあるのですが、やはりコイツもグンジ同様イカレています。処刑人を務めるくらいですから、むしろイカレてないとおかしいですけど。
 
n【ナノ】(cv/Prof.紫龍)
★どこからともなく現れる謎の人物。そこに存在していることすら疑ってしまう独特の雰囲気を醸し出している。
 ラインの原料(nの血液)を宿す人物です。nはコードネーム。本名は語られていません。
 感情がほとんどないためか、抑揚のない口調で抽象的な話し方をし、話の本質がつかみづらいです。凡庸な私にはその意図するところが理解できない(汗)。
 強烈な破滅主義者ですが、エンディングでは再び自分の足で歩き出します。それにとある人物がアキラを庇って凶弾に倒れるのですが、それも相まってこのエンディングは涙なしでは見れません。
 逃亡中の黒髪のnは文句なしにステキです。感情も出てますし。そしてnの笑顔は頭から離れないくらい綺麗です。
 ちなみにnは他のキャラを全員クリアした状態でないとルートに入れないようです。
 
 次に血にまつわる一連の事件について順を追って説明します(汗)。完全ネタバレのためOKな方のみ反転させてどうぞ。
 第3次世界大戦時、国家ぐるみで行われた生体兵器【Nicole・Premier(ニコル・プルミエ)】開発プロジェクトでは「Nicole」と呼ばれるウイルスを投与するという方法が取られました。
 この「Nicole」は精神的・肉体的な増強を行う、ラインと同じ作用をもたらす(←当然ですね…)ウイルスで、これを利用することで最強の生体兵器を作ろうとしたわけです。
 ちなみにラインはnの血液が原料であり、Nicoleウイルスによる作用と同じ効果をもたらしています。
 Nicole被験者には子どもが利用されました(子どもの持つ無限大の可能性にかけたため)。その被験者の一人・nはこのウイルスに完全適合した保菌者(キャリアー)です。
 非Nicole(ナルニコル)というウイルスも存在し、Nicoleの毒を中和する作用を持っています。保菌者(キャリアー)はアキラ。しかしその作用は強く、アキラの血はライン中毒者を殺すまでに至らせます。
 このウイルスは大戦終結後に初めて認知され、ストーリー終盤ではアキラ(生存していれば被験者であったケイスケも)はCFCに追われる身となります。これはCFCと日興連との内戦勃発に際し、CFCがその力を欲したため。CFCはアキラの体質のことをトシマに送り込む前から認識しており、大事な被験体ではあるものの、敢えてアキラを利用してnとの接触をはからせたのです。
 終戦とともに研究機関・ENEDがなくなり、被験者達はCFCの孤児院の一つに収容されます。その際、研究の記憶は全て消されました。アキラたちの幼少期の記憶が断片的なのはそのためです。
 nはある日突然気が触れて、研究員を皆殺しにしたのち脱走。そしてこの世の全てに絶望した結果、ラインを流行させて、その憎しみを放出するという行動に出ます。ちなみにイグラやラインの流行には当然ヴィスキオとイル・レ(←ほんの少しだけ)が関わっています。
 非Nicole保持者のアキラとの接触をはかるのは、全てに絶望した自分に差した一筋の光明である可能性を託したためです。


猛(cv/小池竹蔵)※攻略不可
★イグラ参加者の一人。イル・レへの挑戦に闘志を燃やしているが、その裏には何か理由があるようだ。
 アキラに対する認識を誤り、nから高濃度のラインを手渡されてから彼の運命が変わります。
 個性たっぷりの服装で初登場時に爆笑させてくれた人物ですが、彼の末路はかなり悲惨です。
 妹思いの優しいお兄ちゃんなだけに、この幕切れはあんまりです。

エマ(cv/奥田香織)※攻略不可
★CFC側の軍人で冷酷な片腕の美女。アキラの冤罪を晴らす条件としてイグラ参加を持ちかける。
 アキラにとっては諸悪の根源……と言いたいところですが、彼女のnに対する想いには共感できました。
 冷徹な女軍人だと思い込んでいましたが、nと対峙するエマは切なくて、やるせなくなってきます。
 エマは元ENEDの研究員で、アキラに冤罪を着せてトシマに送り込んだのも彼女でした。全てはひとえにnの「解放(死)」のため。
 nの確保に躍起になっていた軍部は、アキラの血について知ったnがアキラに接触することを予想してこの謀略を仕組んだわけですが、エマは当初からnの「解放」のために国を裏切るつもりだったようです。
 そして自らの手でnに死を与えようとしますが、彼女はnの手によって死にます。ちなみに彼女の左腕もかつてnが切ったものでした。全ては初めから歪んでいたということですね……。
 死に際はまさに女の顔をしています。たぶんこれが彼女の本当の顔なのだと思うのです。

グエン(cv/滑川菊太郎)※攻略不可
★エマの部下。常にエマの側に控えている。
 任務に忠実であることはうかがえますが、それ以外に特筆すべきことはありません。それくらいの脇キャラ。
 しかし、エマのことを想っているのは明白でしょう。源泉ルートでは彼自身は死にはしませんが(でも、きっとあのあと死ぬんでしょうね……)エマの死に直面して悲痛な声で呼びかけています。
 自らが死ぬ場合もエマの銃弾によって死ぬわけですから、まぁ、諦めもつくでしょう(つかないか……)。




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